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2015.01.23 村山貢司先生の連載コラム_第3回

村山貢司先生の連載コラム_第3回

財団法人気象業務支援センター・専任主任技師、気象予報士 村山貢司

 

スギ花粉症の人にとっては、この春に花粉が多いかどうかが気になる季節です。スギ花粉の飛散量に最も影響するのは前の年の夏の気象です。猛暑で日照時間が長く、気温が高いとスギはたくさんの花を着け、結果として翌年春の花粉が増加します。図-1は東京都心における夏の日射と翌年春の花粉量で、これだけでもある程度の予想はできます。しかし、猛暑が続いても毎年花粉が多いわけではありません。もうひとつの条件は前の年に花が多かったかどうかです。スギの花は雄花と雌花に分かれており、花粉を飛ばすのは雄花です。雄花から出た花粉が雌花につくと受精しますが、実は雌花が成長するのは翌年になります。雄花が多い年には雌花も多くなるのが普通です。花粉が多かった翌年に猛暑になっても、スギの木は雌花の成長に栄養を取られてしまうので、花粉を飛ばす雄花が少なくなってしまいます。

 

 

 

私たちは、晩秋から初冬に全国のスギ林で双眼鏡を使って雄花がどの程度着いているかを観察しています。図-2が11月下旬のスギ林の様子です。雄花が大量に着いているスギをAランク、ほとんど着いていないスギをDランクという4つのランクに分けてスギ林の雄花の量を点数化し、花粉量の予測の参考にしています。図-3は2001年から2008年までの関東地方でも推定雄花量ですが、変動が非常に大きいのが分ります。2014年秋に調査した結果では西日本は前年よりやや少なく、東日本は逆に多くなっていました。

 

 

 

 

気象条件とスギ雄花の調査から予測した結果が、図-4の全国主要都市の花粉予測です。四国や九州は2014年より少ない見込みですが、3000個を超えそうです。東北から近畿にかけては2014年より多く、特に関東や東海地方で花粉量が多くなる見込みです。なお、スギ花粉の飛散が始まる時期はほぼ例年と同じで、関東から西の地方は2月上旬から中旬、北陸や東北南部が2月下旬から3月上旬になるでしょう。

 

 

* 村山貢司先生の「3回シリーズ」は今回で終了です。